
那智勝浦と聞いて、まず「ホテル浦島」を思い浮かべる人は多いでしょう。
港から船に乗って宿へ渡り、天然の洞窟温泉「忘帰洞」へ。これだけでも、ほかの温泉地ではなかなか味わえない旅になります。
でも、那智勝浦の面白さはホテルの中だけではありません。
海へ出れば紀の松島、港へ戻れば生まぐろで知られる勝浦の町。そして少し足を延ばせば、那智の滝と熊野那智大社があります。
「温泉に来たはずなのに、ずいぶん景色が変わりそうだね」
この記事ではホテル浦島を入口に、海、港町、熊野の山へ。那智勝浦をひと続きの旅として歩いてみます。
GoogleMapで(那智勝浦・ホテル浦島)を確認は→こちら
忘帰洞・玄武洞|船で渡るところから旅が始まる

ホテル浦島の旅は、宿に着く前から少し変わっています。
勝浦の港から船に乗って、ホテルへ向かいます。
「ホテルに泊まるのに、船に乗るんだね」
「もうここから観光が始まってる感じだな」
短い船旅でも、陸からホテルへ向かうのとは気分が違います。
そしてホテル浦島を象徴するのが、天然の洞窟を利用した温泉「忘帰洞」です。
洞窟へ入ると、まず目に入るのは大きな岩肌。その先へ進むと視界が開き、太平洋が目の前に現れます。
「ちょっと待って。これ、本当に温泉?」
「温泉だけど……洞窟の中に海が入り込んできたみたいだな」
きれいに整えられた露天風呂とは違います。
岩の荒々しさ、洞窟の大きさ、そして目の前で動き続ける波。そのすべてを含めて、忘帰洞です。
ホテル浦島には、もう一つの洞窟温泉「玄武洞」もあります。
館内を歩きながら温泉を巡っていると、普通の温泉宿とは少し違うことに気づきます。
「次の温泉まで、まだ歩くの?」
「それも含めて浦島なんじゃない?」
少し笑いながら、また館内を歩く。
泊まる場所というより、宿そのものを楽しむ。
ホテル浦島には、そんな昔ながらの大きな温泉ホテルならではの面白さがあります。
ホテルを出れば、今度は海へ。
船で渡ってきたその海を、今度は外から眺めてみたくなります。
「かなり、謎な温泉をみてほしいです。船で渡るのもビックリですが、中を見ると更におどろきです。関東にはないですね?」
「この宿は、ある旅行好きの人に、一度は~行ってみた方がいいかもね?といわれただけでした。」
紀の松島めぐり|今度は海から勝浦を見る

洞窟から海を眺めたら、今度はその海へ出てみます。
勝浦湾周辺の島々や岩礁を船から眺める「紀の松島めぐり」です。
「今日はずいぶん船に縁があるね」
「港から見るのとは、また違いそうだな」
船が進むにつれて、陸からは一枚の景色に見えていた島や岩が、一つずつ形を持ちはじめます。
「あれ、近くで見ると結構大きいね」
ここでは、一つひとつの岩の名前を覚えなくてもいいと思います。
面白いのは、船の位置が変わるたびに景色も変わっていくこと。
岩の向こうから別の島が現れ、さっきまでいた勝浦の町が少しずつ遠ざかっていきます。
ホテル浦島へ向かったときとは、同じ海でも見える景色が違います。
さっきは「渡るための海」だったものが、今度は「眺めるための海」になっている。
そんな違いを感じながら船に揺られていると、やがて港が近づいてきます。
「お腹、空いてきたね」
「じゃあ、まぐろかな」
海を楽しんだあとは、船を降りて勝浦の町へ。
今度は、海の恵みを味わいに行きます。
駅周辺商店街と港町グルメ|生まぐろだけじゃない勝浦の味

JR紀伊勝浦駅の周辺から港にかけては、飲食店や昔からの商店が点在しています。
観光客向けの店だけが並んでいるというより、地元の日常の中へ旅人が少し入り込んでいくような港町です。
そして、勝浦まで来たらやはり気になるのが生まぐろ。
まぐろ丼や刺身、定食などを掲げる店が、町を歩いていると目に入ります。
「やっぱり、まぐろ丼かな」
「最初から決めないで、ちょっと歩いてみようよ」
有名店を一軒だけ目指して一直線に歩くより、店先のメニューを眺めながら、
「ここ、良さそうだね」
と、その日の気分で入ってみる。
そんな選び方も、港町を歩く旅の楽しみです。
ただ、勝浦の味は生まぐろだけではありません。
熊野地方には、さんま寿司や、高菜の葉でご飯を包んだ「めはり寿司」といった昔ながらの味もあります。
「めはり寿司って、もっと豪華なものかと思ってた」
「ずいぶん素朴だね。でも歩いたあとには、こういうのがいいな」
華やかな生まぐろと、土地に残る素朴な味。
どちらか一方ではなく、両方に触れてみると、この町の食文化が少し見えてきます。
海を眺め、船に乗り、港町を歩いて、そこで食べる。
ここまで来ると、那智勝浦が「ホテル浦島に泊まるためだけの場所」ではないことも、だんだん分かってきます。
そして旅は、もう一度、町の外へ。
次は熊野の山へ向かいます。
那智の滝・熊野那智大社|海から熊野の山へ

勝浦の町を離れて那智の滝方面へ向かうと、少しずつ景色が変わってきます。
途中には「道の駅なち」があります。
JR那智駅に隣接していて、旅の途中でひと息入れられる場所です。温浴施設「丹敷の湯」もあるので、時間や疲れ具合に合わせて立ち寄れます。
「ここで少し休んでいく?」
「そうしよう。まだ先があるからね」
道の駅は、目的地を一つ増やすというより、疲れたら休む、気になったら寄るくらいでいいでしょう。
そこからさらに山側へ進むと、さっきまでの港町の景色が少しずつ遠ざかり、緑が深くなっていきます。
その先で待っているのが、那智の滝です。
山の中を一本の水がまっすぐ落ちていく姿は、海辺で見てきた景色とはまったく違います。
近づくにつれて水の音が大きくなり、港町とは別の空気に包まれていきます。
「写真で見るより、ずっと高く感じるね」
「これは画面だけじゃ分からないな」
那智の滝の近くには、熊野那智大社や青岸渡寺があります。
石段や坂道もあるので、ここまで歩いてきたなら、無理をせずゆっくり進みたいところです。
「まだ上るの?」
「ここまで来たんだから……ゆっくり行こう」
海の洞窟にある忘帰洞。
そして、熊野の山を落ちる那智の滝。
海と山。まったく違う景色を、一度の旅で楽しめる。
ここまで来ると、那智勝浦が「温泉だけの町」ではないことが、はっきり見えてきます。
ホテル浦島から始まった旅は、海を越え、港町を歩き、そして熊野の山へ。
那智勝浦という場所の大きさを感じるには、このくらい景色を変えてみるのも面白いのかもしれません。
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ホテル浦島を目当てに訪れる人にも、熊野を歩いてみたい人にも。
「那智勝浦は、海と山、その間にある港町まで含めて楽しめる旅先です。」
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