亀老山で見た「絶景」を越えて。しまなみ海道・尾道の路地裏に座り込む、大人の旅の流儀

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船のデッキに立ち、しまなみ海道の橋が頭上をゆっくりと通り過ぎていくのを眺めていた。

「やっぱり、今の船はいいわね。昔の苦労は何だったのかしら」 連れ合いが穏やかな風を受けながら、隣でそう笑う。

「まったくだ。大分までフェリーの甲板で寝袋を広げ、波を被りながら雑魚寝したあの頃を思うと、今のこの快適さはまるで夢のようだ」

私は手すりにもたれかかり、かつての記憶を反芻する。かつて日本海フェリーや青函連絡船で震えながら過ごした夜のこと。あの頃は、とにかく「移動すること」そのものが戦いだった。

「でも、あの時の波の感触を思い出すからこそ、今のこの湯舟の温かさが身に沁みるのよね」 連れ合いが海を指さす。視線の先には、かつて橋の下から覗き込んだあの渦潮の気配がある。

「そうだな。北海道のような雄大さもいいけれど、瀬戸内のこの景色には、日本の骨格みたいなものが詰まっている気がするよ。島と、橋と、人々の営みが折り重なる風景……こうして眺めていると、たまには『通り過ぎる旅人』じゃなくて、あそこに腰を下ろして暮らしてみるのもいいんじゃないか、なんて思えてくるな」

「移住、なんてね。少し重たい響きだけど、ここならそんな選択も、なんだか楽しそうに思えるわね」

私たちは顔を見合わせて少し笑う。かつて無銭旅行さながらに荒っぽく駆け抜けた海路も、今はこうして「生活の場所」として選ぶ未来を想像できるようになった。

「時代は変わっても、この景色に惹かれる心根は昔のまま。……さて、次はどの橋を渡って、どんな景色を見に行こうか」

私たちの旅路は、まだまだ終わりそうにない。

波を被ったあの頃と、デッキで笑う今

夫:「こうしてフェリーのデッキから島々を眺めていると、昔の四国旅行を思い出すな。あの頃はとにかく四万十の川だ、道後温泉だと言っては、必死に『名所』を確認して回っていたよな」

妻:「そうね。あの時は道後温泉の『大元祖』を見つけてはスタンプを押すみたいに、名所を消費することに忙しかったわ。四万十の自然も凄かったけれど、正直、観光客として通り過ぎていただけのような気もするわね」

夫:「ああ。あの頃は荒波に揺られながら『どこかへ行かなきゃ』って焦っていたような気もするよ。でも、橋と渦潮を自分の体で越えて、こうしてデッキで風に当たっている今は、なんだか肩の力が抜けているというか……同じ四国なのに、全然違う場所にいるみたいだ」

妻:「本当ね。波を被りながら名所を目指していたあの頃の私たちを思い出すと、今の私たちは随分と贅沢な旅の仕方を覚えたものだと思うわ。ただ移動するんじゃなくて、瀬戸内のこの複雑な流れを、自分たちの身体で読み解いている感じがして」

日本の骨格を眺める――しまなみ・渦潮の記憶

妻:「……ねえ、亀老山から見たあの景色。言葉にするのは難しいけど、なんだか精巧に設計された『箱庭』を覗き見ちゃったみたいな気分じゃなかった?」

夫:「ああ、それだ。巨大な橋と、ねじ切れるような渦潮。あんなにダイナミックなのに、どこかガラスケース越しに見ているような、現実味のない圧倒的な美しさだったよな」

妻:「カメラを向けても、全然ダメ。写真じゃ、あの空間の重さも、地球が物理的に動いている息吹も説明がつかないわよね。結局、『見ちゃったよなあ……』としか言いようがなかったわ」

夫:「ほんと、あれは凄まじかった。ただの観光地じゃなくて、日本の骨格みたいなものをうっかり覗き見ちゃったような、そんな背徳感さえあった気がするよ」

「本来、見てはいけない(箱庭の様な)物を見ちゃったみたいな感じかな?」

商店街という「腰かけ」――あえて、そこで座る理由

妻:「あんな凄まじい絶景を見たあとだから、余計に今のこの商店街の空気が落ち着くのかもね。箱庭のような非日常から降りてきて、ようやく『地上の日常』に戻れたというか」

夫:「結局さ、俺たちがわざわざ商店街の片隅に座りたがる理由って、これなんだよな。名所だけじゃ測れない、その土地の『体温』を確認したくなるんだ」

妻:「ええ。こうやって古びた看板を眺めたり、地元のおじいさんが何気なく歩く路地の空気に身を預けたりして、ようやく自分たちの呼吸が土地と合ってくる気がするの」

夫:「絶景で高揚して、商店街で安堵する。この振り幅こそが、俺たちにとっての四国旅の醍醐味なんだろうな。……さて、このまま少しだけ、この商店街の風に吹かれていようか」

夫:「……こういう路地裏の風を感じてしまうと、駅前のビジネスホテルじゃ物足りないよな」
妻:「そうね。尾道の夜は、静かな古民家にでも泊まって、朝の静寂をもう一度味わいたいわね。」

▶(ココ↓↓)

「多彩なバリエーションの中から選んでみる」

「かなりの選択肢がある様です。じっくり選んでほしいですね。」

「駅前のホテルも便利だけど、ここへ来るなら少し特別な場所がいい。……さて、どんな『尾道の夜』を予約しようか。宿を選ぶ時間さえも、この旅の楽しみの一部なんだから。」

旅路は、まだまだ終わりそうにない(まとめ)

妻:「亀老山から見た箱庭も、この商店街のベンチも……なんだか今回の旅は、これまでの私たちを少しだけ更新してくれた気がするわね」

夫:「ああ。名所を確認するだけだったあの頃には戻れないな。この土地の風や、流れる空気の重さを知ってしまったから」

妻:「そうね。またいつか、思い出したように四国へ来るんだろうけど、その時もきっと、地図にも載っていないような路地裏で、こうして腰を下ろしているんだわ」

夫:「目的地はあっても、なくてもいい。ただ、こうして自分たちの足元に確かな『地層』を積み重ねていくこと。……俺たちの旅は、まだまだここから先、どこまでも続いていきそうだな」

「商店街はどこでも,その街の故郷(ふるさと)で、ベース(基地)になってくれてるんだね?」

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