
「えっ、この海にこんな怪物が?」
小田原や真鶴の穏やかな海を眺めていると、にわかには信じがたいかもしれません。
しかし岸からわずか数キロ先には、水深1,000mの深海が広がっています。
相模湾は日本でも珍しい「急深(きゅうしん)」の海。
海底を走る巨大な溝「相模トラフ」が、岸のすぐそばまで漆黒の奈落を運んできているのです。
そのため、私たちが普段見ることのない異形の魚たちが、港に「朝獲れ」で水揚げされます。
見た目は怪物。
味は驚くほど美味しい。
今回は、小田原の港町で出会う「キモ旨」深海魚グルメを追いかけてみます。
深海の「キモ旨」5人衆・お品書き

「おいおい、冗談だろ?」
まな板の上にドンと置かれた、漆黒の巨大な頭。
鋭い歯と、こちらを見透かすような瞳。
しかし、その中には驚くべき美食の世界が隠されています。
アブラボウズ(全身トロ)
100kgを超える巨体。脂が極端に乗るため「全身トロ」とも呼ばれる深海魚。
メヒカリ(脂の爆弾)
小さな体なのに、驚くほど脂が乗る魚。唐揚げにすると絶品です。
ユメカサゴ(極上白身)
深海の赤い魚。上品な白身で、刺身や煮付けで人気。
オオグチボヤ(異形の生物)
笑っているような顔の奇妙な生物。見た目は完全にエイリアン。
ヌタウナギ(コリコリ食感)
見た目は少し衝撃的ですが、食べると独特の食感が楽しめる珍味です。
見た目はエイリアンでも、味は本格派。
これが相模湾の深海魚の魅力です。
なぜ相模湾なのか?深海が近い海
相模湾は、日本でも珍しい「急深の海」です。
岸の近くから海底が急激に落ち込み、数キロ沖には水深1,000mの深海が広がっています。
この地形を作っているのが、海底を走る巨大な溝「相模トラフ」です。
そのため、小田原や早川の港では、本来なら数日かかるはずの深海魚が、鮮度抜群の状態で水揚げされます。
つまり相模湾は、天然の深海魚の宝庫なのです。
朝の漁港には、目が巨大で色が鮮やかな深海魚たちが並び、普段の魚市場とはまったく違う光景が広がります。

実食ドキュメント:怪物がごちそうに変わる瞬間

最初は誰でも少し躊躇します。
鋭い歯。
奇妙な体。
見たことのない魚。
しかし、勇気を出して一口食べれば印象は一変します。
濃厚な脂。
深い旨味。
独特の食感。
「さぁ、食べてみてください。」
そう言われて差し出されたのは、真っ赤に茹で上がったグソクムシの脚。
そして土鍋から顔を出すヌタウナギ。
最初は驚くような見た目ですが、食べてみるとカニやエビに似た濃厚なコクに驚きます。
この「見た目と味のギャップ」こそが、深海魚グルメの最大の魅力なのです。
深海魚に出会う「はしご旅」ルート

小田原の魅力は港だけではありません。漁港から少し歩けば、昔ながらの路地や商店街が広がり、散歩そのものが楽しい街でもあります。
小田原では、深海魚を楽しむ小さな旅ができます。
①早川漁港
朝の市場では、異様な姿の深海魚が水揚げされる光景を見ることができます。
②港の食堂
アブラボウズの西京焼きやメヒカリの唐揚げで、まずは深海の味を体験。
③宮小路商店街
昭和の雰囲気が残るレトロな通りを散策。
看板建築や古い店が並び、港町らしい空気が流れています。
④深海魚居酒屋
夜は赤提灯の下で、珍しい握りや珍味を肴に一杯。
こうして巡ると、相模湾の地形と食文化が自然につながって見えてきます。
早川漁港では、見たことのない深海魚が並びます。
巨大な目の魚や、真っ赤な体の魚など、写真好きにはたまらない被写体です。
こうした港町の撮影を楽しむなら、カメラをレンタルして出かけるのもおすすめです。
共有される驚きと喜び

「これ、本当に食べられるの?」
そんな声が聞こえることもあります。
しかし一口食べた瞬間、
「うまい!」
という声に変わることも少なくありません。
親子で、友人同士で、
異形の食材を囲む時間は、単なる食事以上の体験になります。
見た目の驚きと、美味しさの感動。
その両方を共有できるのが、深海魚グルメの面白さなのかもしれません。

見た目、とのギャップ?深海魚グルメのおもしろさ

見た目のインパクトと味の上品さのギャップ。タコやウツボ、シャコなどと同じく、深海魚もまた「見かけで損をしている」美味しい食材なのかもしれません。
「見ただけで判断は、できませんね~?」
*でも?アブラボウズ「全身トロ」と呼ばれるほど脂が多い魚。あまりに脂が乗っているため、食べ過ぎるとお腹がびっくりすることもあると言われています。(※注意)
(まとめ)深海の入口は小田原にある

相模湾の深い亀裂は、ただの地形ではありません。
それは、私たちの知らない食の世界への入口なのかもしれません。
小田原の港町には、今夜も名前も知らない深海の魚たちが並びます。
見た目は少し奇妙でも、味は驚くほど美味しい。
そして何より、その未知の味を誰かと分かち合う時間は、何にも代えがたい体験になります。
小田原の夜の路地裏には、そんな深海の物語が静かに続いているのです。
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