
かつて浮世絵師・歌川広重がその美しさを「金沢八景」として世に知らしめた、横浜の奥座敷。 現代の喧騒の中にありながら、一歩路地へ入ればそこには江戸から続く波音と、瀬戸神社の凛とした静寂が今も息づいています。
本記事では、多摩地区から沿線散策を続けてきた筆者が、金沢文庫から野島公園まで、**「歴史の追体験」「地元の暮らし」「心洗われる景観」**をテーマに歩いた1日コースをご紹介します。
50〜60代のご夫婦がゆったりと歩ける歩幅で、近隣に住む外国人の方々にも教えたくなるような「本当の横浜」の姿。ガイドブックには載らない路地裏のB級グルメや、海辺のアトリエでの手仕事体験など、知的好奇心を満たす「大人の空中散歩」へ、あなたを誘います。
【景観】浮世絵の視点。平潟湾に浮かぶ船影と瀬戸神社の「静」

駅の喧騒を離れ、潮の香りに導かれるように平潟湾へ歩みを進めると、そこには時が止まったかのような静寂が広がっています。かつて歌川広重が『金沢八景』の一つとして描いた「乙舳帰帆(おっともきはん)」の情景。現代では、その空を横切るようにシーサイドラインが静かに走り、新旧の景観が見事なコントラストを描いています。
散策の起点にふさわしいのが、入り江を背に鎮座する「瀬戸神社」です。鎌倉時代、源頼朝が三島明神を勧請して創建したとされるこの社は、古くから海路を守る要所でした。境内から道路を挟んだ向かい側、海の中にぽつんと浮かぶ「琵琶島神社」の赤い鳥居は、満潮時には水面にその姿を映し、なんとも幽玄な美しさを湛えます。
特におすすめなのは、引き潮の時間帯。露出した石積みの参道と、湾内に並ぶ無数の釣り船が夕日に照らされる様は、まさに広重が愛した「江戸の粋」そのもの。外国人の方にとっては、都会の横浜とは違う、神秘的な日本の入り江風景として深く記憶に刻まれるはずです。
- 見どころ: 道路を挟んで海に佇む「琵琶島神社」の鳥居。潮風に洗われる赤い鳥居越しに眺める夕景は、まさに大人のためのフォトスポットです。
- なぜ響くのか: 忙しい日常を忘れさせる「静寂」と「歴史の奥行き」が、知的好奇心の強い世代に深く刺さります。
【商店街】昭和の記憶。金沢文庫駅前で出会う「暮らしの温度」

歴史散策の醍醐味は、その土地に暮らす人々の息吹に触れることにあります。金沢文庫駅から続く「すずらん通り」などの商店街は、大型ショッピングモールにはない、懐かしくも温かい活気に満ちています。軒先を飾る色鮮やかな三浦野菜、近所の常連客と世間話に花を咲かせる店主。そこには、多摩地区の住宅街とはまた一味違う、海辺の街特有の開放的な空気が流れています。
50〜60代の読者にとって、こうした商店街歩きは幼い頃の記憶を呼び起こす特別な時間になるでしょう。観光客向けに整えられた場所ではないからこそ、本物の「日常の豊かさ」が見えてきます。たとえば、地元の精肉店で売られている揚げたてのコロッケ。これを新聞紙に包んでもらい、頬張りながら歩く。そんな些細な体験が、旅の満足度をぐっと引き上げます。
駐在外国人の方々にも、ぜひこの「飾らない日本」を見てほしいと思います。チェーン店ではない、代々続く個人の専門店が軒を連ねる風景は、彼らにとって最もエキゾチックで、日本をより深く理解するための入り口となるからです。
- おすすめ: 老舗精肉店の揚げたてコロッケを片手に歩けば、それだけで旅の質感が変わります。
【B級グルメ】五感を満たす。裏路地の隠れ名物「あさりラーメン」

散策でお腹が空いてきたら、路地裏に潜む「地元民の聖地」へ足を運びましょう。金沢八景はかつて、江戸中へ「江戸前」の魚介を供給していた豊かな海です。今もなお、その恵みを手軽に楽しめるのが、知る人ぞ知る裏路地食堂の「あさりラーメン」です。
ここのラーメンは、いわゆる「映え」を狙った派手なものではありません。しかし、どんぶりを埋め尽くすほどのあさりから溢れ出した濃厚な出汁は、驚くほど透明感があり、一口すするごとに海の滋味が五臓六腑に染み渡ります。磯の香りと、刻みネギのアクセント。シンプルながら、一口ごとに「ああ、美味しい」と溜息が漏れる、これこそが大人のためのB級グルメです。
「豪華な懐石も良いけれど、こういう地元の一杯が一番落ち着く」——そんな50代以上の本質を知る世代にこそ、この一杯を捧げたい。外国人の方には、魚介の旨味(UMAMI)を凝縮したスープの奥深さを、ぜひ体験していただきたい名物です。
- 特徴: どんぶりを覆い尽くすほどのあさりから出た濃厚な出汁。一口すすると、海の恵みが口いっぱいに広がります。
【体験】手仕事の時間。海辺のアトリエで「シーグラスアート体験」

ただ歩くだけでなく、形に残る思い出を。野島公園近くの静かなアトリエでは、海岸で拾い集めたシーグラス(色とりどりのガラス片)を使ったワークショップが人気です。
ただ見るだけでなく、自らの手で形にする。大人の休日をより豊かにするのが、野島公園近くのアトリエで開催されている「シーグラスアート体験」です。海岸に打ち上げられた色とりどりのガラス片、シーグラス。長い年月、波に揉まれて角が取れたその宝石を使い、世界に一つだけのフォトフレームやオブジェを作り上げます。
約2〜3時間のワークショップは、驚くほど集中できる自分へのご褒美タイムになります。「どの色を並べようか」「この形は波のようだな」と、無心に作業を進める時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれるマインドフルネスな体験です。手工芸に親しんできた世代なら、その創作の喜びにすぐに魅了されることでしょう。
英語でのサポートを行っているアトリエも多く、外国人の方にとっては「日本の海のかけら」をアートとして持ち帰れる絶好の機会です。ご夫婦で、あるいはご友人と、海が見えるアトリエで肩を並べて作業する。完成した作品を手に取る瞬間の笑顔は、この旅で最高のお土産になるはずです。
- 内容: 小さなフォトフレームに、自分だけのデザインでガラスを配置。
- 所要時間: 約2時間。予約制で少人数なので、ご夫婦や友人と落ち着いて楽しめます。
- 魅力: 自分で作った作品は、旅が終わった後もリビングで金沢八景の海を思い出させてくれます。
【展望】開放感の頂点。野島山から望む360度パノラマ
ただ見るだけでなく、自らの手で形にする。大人の休日をより豊かにするのが、野島公園近くのアトリエで開催されている「シーグラスアート体験」です。海岸に打ち上げられた色とりどりのガラス片、シーグラス。長い年月、波に揉まれて角が取れたその宝石を使い、世界に一つだけのフォトフレームやオブジェを作り上げます。
約2〜3時間のワークショップは、驚くほど集中できる自分へのご褒美タイムになります。「どの色を並べようか」「この形は波のようだな」と、無心に作業を進める時間は、日常の喧騒を忘れさせてくれるマインドフルネスな体験です。手工芸に親しんできた世代なら、その創作の喜びにすぐに魅了されることでしょう。
英語でのサポートを行っているアトリエも多く、外国人の方にとっては「日本の海のかけら」をアートとして持ち帰れる絶好の機会です。ご夫婦で、あるいはご友人と、海が見えるアトリエで肩を並べて作業する。完成した作品を手に取る瞬間の笑顔は、この旅で最高のお土産になるはずです。

【アクセス・詳細情報】
- スタート: 京急線「金沢文庫駅」東口
- ゴール: シーサイドライン「野島公園駅」
- 予算目安: 3,000円〜4,000円(ランチ・体験・お土産含む)
**金沢八景近辺のGooglemap確認は→こちら
【まとめ】歴史と海風が交差する街を歩き終えて
金沢文庫から野島公園まで、歩数にして約1万歩。 歴史の深みに触れ、地元の味に舌鼓を打ち、手仕事に没頭する。そんな贅沢な時間が、都心からわずか1時間の場所にあります。
広重が描いた景色は、形を変えながらも、その「粋」な精神を今に伝えています。次の週末、大切な人を誘って、海風を感じる「空中散歩」へ出かけてみませんか?
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